Amazon KDPによる電子書籍出版の振り返り(平成三十年下半期)

 平成三十年も愈々終りに近づいた。ここで半年毎の恆例となりつつある、Amazon KDPに於ける電子書籍出版の、賣上の振り返りをやつていかうと思ふ。
 因みに平成三十年後期は、九月に出した島田清次郎著『靜かなる暴風(地上・第三部)』以外に出版したものはない。自分の關心が、當初よりは復刻電子出版から逸れたといふのが理由としては大きく、この一册が電子書籍化に時間の掛かる長篇小説であつたこと、自身が多忙であつたことなどもそれに加はるのだが、そのやうな言ひ訣に興味のある讀者はゐないであらうから、これ以上はやめておく。但し今後、電子書籍出版からやや遠ざかるにしても、やめるといふことはないので安心して頂きたい。來年、出版點數が皆無となつたり、賣上點數が極端に少なくなつたりした場合、年末にまとめてこの記事を書くことになる可能性はあるが。
 さて前置きはこのぐらゐにして、賣上のはうを見ていかう。 

・七月…… 二册 『地に潜むもの』一册、『涯なき路』一册
・八月…… 一册 『地に叛くもの』一册
・九月…… 五册 『地に叛くもの』二册、『靜かなる暴風』三册
・十月…… 六册 『地に潜むもの』二册、『地に叛くもの』一册、『靜かなる暴風』一册、『涯なき路』一册、『修道院の秋』一册
・十一月……四册 『地に潜むもの』二册、『地に叛くもの』一册、『靜かなる暴風』一册
・十二月……三册 『地に潜むもの』一册、『地に叛くもの』一册、『靜かなる暴風』一册

 計二十一册。一册當りのロイヤリティは六十五圓なので、一三六五圓が收入となる。前期に賣れたのは十六册であるので、意外なことに賣上は伸びる結果となつた。
 前期の振り返りでも同樣であつたが、やはり島清の強さは壓倒的だ。少ないながらも、賣れた書籍の殆どは島清の『地上』シリーズが占めてゐる。これも前期と同じ分析となるが、嘗てのベストセラー作家であるといふのも大きいのであらうし、短篇集よりは長篇小説のはうが需要があるのかもしれない。いづれ他の作家の長篇小説も復刻して、どれほど賣れるかを確かめてみたいものだ。
 その外、岡田三郎の短篇集『涯なき路』も前期に續いて多少賣れた。岡田は青空文庫にも一つも作品が入つてゐない、現代では忘れられた作家であるが、關心を持つ人も多少ゐるといふことであらうか。
 現在は島清の『燃ゆる大地(地上・第四部)』と他の作家の短篇集の作業を、少しづつ竝行して行つてゐる状況であるが、發行できるのがいつになるかはまだ不明である。『地上』シリーズの全卷復刻は、ここまで出した者としては何としても成し遂げたいところである。
 最後に、永文堂の電子書籍を購入して下さつた方々に、心より感謝を申し上げたい。よいお年を。